アクロマートで直焦点撮影(青ハロ対策) 2014.10.28


アクロマートって、青色に対する補正がされていないため、
撮影に使うと輝星の周りにいわゆる「青ハロ」が出るので、天体写真にはあまり使用されません。
しかしアポクロマートの鏡筒と比べると遥かに安価です。
またニュートン式よりも小型で軽い物が多いので、架台も安価な物で済ませられます。
そのためアクロマート鏡筒で星撮りが楽しめたら、天体撮影のハードルはグッと下がるのではないでしょうか?

実際ネット上の記事を見ていると、アクロマート鏡筒で直焦点撮影をしておられる方もチラホラ見かけますが、
やはり皆様、青ハロの処理に色々と難渋しておられるご様子です。

今回のネタは超簡単に、この青ハロ対策をしてしまおうという物です。(^^;


今回使用した機材はF7.1のアクロマート鏡筒、「SWT-70XS」です。

また架台はビクセンの入門用赤道儀のベストセラー「GP赤道儀」に、
「MD-6」モーター+「DD-2コントローラー(オートガイド改造)」と、直焦点撮影にしては極めてチープな機材環境です。
2015年現在GP赤道儀は廃版となってしまいましたが、まだまだネットオークションでは頻繁に出品されますし、
最近では同クラスの架台に自動導入やオートガイド端子を付けたものも、比較的安価で出回るようになりました。

それから使用したカメラはEOS Kiss X2の改造機ですが、今回の撮影対象のM31等なら、
ノーマル機でも十分写ると思います。


ザッと計算してみても、鏡筒1~2万円、架台+モータードライブが5~7万円、カメラが1~2万円、
それからオートガイド機材を始めとした周辺機材が、追加で込み込み2万円程度からと言ったところでしょうか?
上手くすれば10万円未満でお釣りが来そうな機材構成です。


で、この機材構成でこんなの↓撮れました。

2014年10月24日 22時30分頃~ 自宅庭
SWT-70XS+ケンコーACクローズアップレンズNO.4
Canon Eos Kiss X2(新改造)
ISO1600 480sec☓4枚
GP赤道儀+DD-2コントローラーにてPHDGuiding2でオートガイド
ガイド鏡 組立望遠鏡(接眼部改)
ガイドカメラ SA-49795

この「SWT-70XS」って、F7.1のアクロマート鏡筒の割に青ハロが少なく、
個人的にはこのままでも「まぁアリか・・・(^^;」と思ったりもするのですが、
今回の本題はこの青ハロ対策です。

なのでこの青ハロをチョチョっと処理してみました。↓

もちろん高級機材と比べると、星像のシャープさは格段に落ちてしまいますが、
個人の趣味と割りきってコスパで考えるなら、十分楽しめる範囲ではないかと思います。


この青ハロ処理には「RawTherapee」というフリーソフトの「フリンジ低減」機能を使用しています。

赤丸で囲った所を上から順にクリックすると、上記のような画面になると思います。
480秒*4枚と露光不足の写真を、敢えて青ハロを強調するためにキツめに処理していますので、
背景の荒れはご愛嬌と言う事でお願いします。(^^;

なお、この「RawTherapee」の「フリンジ低減」機能は、マニュアル(日本語です)にも書いてありますが、
プレビュー画像を等倍以上の表示にしなければ、プレビュー画面には反映されません。
(もちろんプレビュー画面に反映されなくても、処理はきっちり行ってくれています。)

そして↓の赤丸で囲った辺りを操作すると、、、

↑の様に青ハロが超簡単に、それも強力に軽減されます。(^^


それから上記の画像は「Yimg」でコンポジット+ダーク減算→「FlatAid」でご近所フラットを処理→「PIT」で色合せした物を、
Cannonのデジ一にオマケでついてくる「Digital Photo Professional」(以下DPP)で仕上げており、
つまり全て無料のソフトで処理しています。
(有料の画像処理ソフトってLightroomくらいしか持ってないんですけど、ほとんど使っていません。(^^;)
※ネットオークション等でカメラを入手され「DPP」を持っておられない方でも、
  カメラ本体底面に記載してある、製品のシリアル番号があればコチラからダウンロードできるようです。  


この「RawTherapee」、操作に多少クセのあるソフトですが、16bitのTiffファイルを扱える上に、
慣れると特定の色領域だけを強調したりもでき、
また不要なサムネイルが自動的に埋め込まれてしまう「DPP」で保存したTiffファイルを、
「PIT」や「FlatAid」へ受け渡す際にもかなり重宝します。
※「RawTherapee」でTiffファイルに保存する際に、「PIT」や「FlatAid」へ渡す時には「非圧縮」のチェックをOFFに、
  逆に「RawTherapee」から「DPP」に渡す時には、「非圧縮」のチェックをONにすればOKです。


それから「FlatAid」にも、かなり強力かつ簡単に行える青ハロ軽減機能があります。
詳しくは私の説明よりも、本家の説明をご参照願います。


このアクロマート鏡筒を使用した格安の直焦点撮影は、もちろん鏡筒は何でも良いわけではなく、
F値が明るめの短焦点の物にある程度限定されますが、カメラレンズでももちろん可能ですし、
軽めの鏡筒ならニュートン式でも可能だと思います。
またカメラも、SDカード普及以前の機種なら1万円未満で入手可能だと思いますので、
あまり本格的にのめり込むつもりはないけど、やっぱり直焦点撮影もしてみたい。。。
と考えておられる方には、選択肢の一つになり得るのではないでしょうか?


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